本記事では、遺品整理を始める適切なタイミングや事前に知っておくべきポイントについて、心構えと法律面の両方から詳しく解説します。

故人の遺品に向き合うのは辛いものですが、相続に関する手続きには期限もあるため、正しい知識を身につけておきましょう。

この記事でわかること

  • 遺品整理を始めるおすすめのタイミング
  • 心の整理と法的手続きのバランスの取り方
  • 整理に必要な重要書類の種類と探し方
  • 遺品整理を始める前の親族間の話し合いの重要性
  • 「捨てられない遺品」に直面したときの対応
  • 解体が必要な家と遺品整理を一括で依頼できる方法

遺品整理は「いつから」始めるべきか?

大切な家族を亡くしたあと、「遺品整理はいつから始めるべきか?」と悩む方は多くいます。

気持ちが整理できていない中で、故人の持ち物に触れるのは辛いものです。

結論から言えば、遺品整理を開始する時期に明確な決まりはありません。

法律上、「○日以内に遺品を片付けなければならない」という期限は定められておらず、開始のタイミングは遺族(相続人)の判断に委ねられています。

しかし一方で、相続に関する手続きには明確な期限があり、遺品整理を放置しておくと不利益を被る可能性もあります。

まずは落ち着いて心の整理を

遺品整理を始めるタイミングは早い方が望ましい場合もありますが、何より大切なのはご自身の心の準備です。

大切な人を亡くした直後に遺品と向き合うのは誰でも苦しいもので、実際、「亡くなった人の物を捨てられない」という方は少なくありません。

悲しみが癒えないうちに無理に遺品整理に取り掛かっても、気持ちが追いつかず対応しきれない可能性があります。

遺品整理は「遺品を捨てること」ではありません。

無理に全部処分しなければいけないわけではないので、時間や空間に余裕があるなら焦って片付けを進める必要はありません。

むしろ、故人の遺品と向き合う時間をきちんと取り、ゆっくりと気持ちに区切りをつけながら進めること自体が「遺品整理」の大切なプロセスだと言えます。

法的な手続きには期限がある

遺品整理に法的な期限はありませんが、相続関連の手続きには明確な期限が設けられています。

これらを守らないと、手続きが無効になったり、過料(罰金)を科される可能性もあるため注意が必要です。

【死亡後の主な手続きと期限一覧】

手続き内容 期限 提出先・備考
死亡届の提出 死亡を知った日から7日以内 故人の死亡地・本籍地・届出人の住所地の市区町村役場
火葬許可証の申請・取得 死亡届提出時 市区町村役場(死亡届と同時に申請)
世帯主の変更届の提出 死亡後14日以内 市区町村役場の戸籍課
健康保険証の返却 死亡後14日以内 市区町村役場の国民健康保険窓口
介護保険資格喪失届の提出 死亡後14日以内 市区町村役場の介護保険担当窓口
年金受給停止の手続き(国民年金) 死亡後14日以内 年金事務所または年金相談センター
年金受給停止の手続き(厚生年金) 死亡後10日以内 年金事務所または年金相談センター
雇用保険受給資格者証の返還 死亡後1カ月以内 ハローワーク(故人が雇用保険を受給していた場合)
所得税の準確定申告・納税 死亡の翌日から4カ月以内 税務署(故人が自営業または年収2,000万以上の給与所得者の場合)
相続放棄・限定承認の申述 死亡を知った日から3カ月以内 家庭裁判所(相続人が借金等の負債を放棄したいときに必要)
相続税の申告・納税 死亡の翌日から10カ月以内 税務署(相続財産が基礎控除額を超える場合に必要)
相続登記(不動産の名義変更) 相続を知った日から3年以内 法務局(2024年4月から義務化。正当な理由なき放置は10万円以下の過料)
国民年金の死亡一時金の請求 死亡日の翌日から2年以内 年金事務所または市区町村役場
葬祭費・埋葬料の給付申請 葬儀を執り行った日の翌日から2年以内 市区町村役場または健康保険組合(健康保険加入者の場合)
高額医療費の還付申請 医療費の支払いから2年以内 市区町村役場の国民健康保険窓口(該当する場合)
遺族年金の請求 死亡の翌日から5年以内 年金事務所または年金相談センター(生計を維持していた人が亡くなった場合)
未支給年金の請求 死亡の翌日から5年以内 年金事務所または年金相談センター(故人が受給していた年金の未支給分)
生命保険金の請求 死亡の翌日から3年以内 保険会社(生命保険に加入していた場合)
公共料金の名義変更・解約 できるだけ早期に 各契約会社(電気・水道・ガス・電話など)
クレジットカードの解約 できるだけ早期に 各カード会社
運転免許証の返納 死亡後速やかに 警察署または運転免許センター
パスポートの失効手続き 死亡後速やかに パスポートセンターまたは外務省

これらの期限を守るためにも、遺品整理を行い、必要な書類や財産を早めに把握しておくことが非常に重要です。

まず探すべき重要書類とは?

まず探すべき重要書類とは?

遺品整理に取り掛かる前に、まず最初にやっておきたいのが故人の重要書類の捜索・保管です。

なぜなら、相続関係の手続きや今後の財産管理に必要な書類が見つからないと、後で困ったり手続きが進まなくなってしまうからです。

すぐに必要な書類の例

遺品整理を始める前に必ず確認・仕分けしておくべき重要書類の例としては、次のようなものがあります。

  • 遺言書(公正証書・自筆など)
  • 預金通帳・キャッシュカード・証券類
  • 印鑑(実印・銀行印)
  • マイナンバーカード、運転免許証などの身分証明書
  • 年金手帳・年金証書
  • 生命保険・損害保険の証券
  • 不動産の権利証・固定資産税通知書
  • 借用書・ローン明細書・クレジット明細書

これらが見つからないと、相続放棄や財産調査がスムーズに進まないだけでなく、税金の申告ミスや権利関係のトラブルにも発展しかねません。

【よくある隠し場所の例】

  • タンスの奥や引き出し
  • 仏壇や本棚の裏
  • 衣類ケースやアルバムの間
  • 故人の通帳ケースや金庫

書類を見つけておかないと困ること

上記のような書類を見つけておかないと、以下のような困りごとが起きてしまうかもしれません。

書類の種類 見つからないと困ること
遺言書 相続の配分が不明確になり、親族間での争いの原因に
通帳・証券 金融資産の把握ができず、相続税の申告漏れのリスク
印鑑 銀行口座の手続きや遺産分割協議書の作成ができない
身分証明書 公的手続きや運転免許証・マイナンバーの返納に支障
年金関係書類 未支給年金や遺族年金の請求ができない可能性
保険証券 生命保険金の請求漏れ、または手続きができない
不動産書類 不動産の所有が確認できず、相続登記ができない
借用書等 借金の有無がわからず、相続放棄の判断に影響

登記・相続を見据えた整理のタイミング

登記・相続を見据えた整理のタイミング

近年は相続手続きの制度改正もあり、「早めに整理しておいた方がよい」場面が増えています。

その代表例が不動産の相続登記です。

3年以内に相続登記が義務化

2024年4月の法改正により、相続登記は義務となりました。

相続で不動産を取得した場合、取得を知った日から3年以内に名義変更登記を行わないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。

また、過去の相続にも適用されるため、以前に取得した不動産でも未登記の場合は対応が必要です。

遺産分割や財産調査にも関係

遺品整理の時期は、その後の遺産分割協議や財産調査のしやすさにも影響します。

  • 財産調査が遅れる:金融資産や不動産が把握できず、相続税申告に支障が出る
  • 遺産分割が進まない:形見分けや不動産の分配が決まらないまま申告期限が迫る
  • 相続税申告の控除が受けられない:未分割状態では特例の適用が制限される場合も

相続税の申告期限(10ヶ月以内)や登記の義務化(3年以内)を念頭に、遺品整理は「できるだけ早め」が理想的です。

始める前に親族間での話し合いが不可欠

遺品整理を始める前に、親族間で十分な話し合いを行うことが重要です。

誰がどのように進めるかを決めずに始めると、トラブルの原因になることがあります。

特に相続人が複数いる場合は、作業の役割分担や整理の方針について、あらかじめ共通認識を持つことが大切です。

例えば、形見分けをどうするか、どの遺品を残すか処分するかなどについて話し合いをしておくと、作業がスムーズに進みます。

遠方に住んでいる親族がいる場合は、連絡手段や希望品の確認方法についても事前に取り決めておきましょう。

誰が遺品整理を行うのか?

誰が遺品整理を行うのか?

遺品整理は親族のうち誰が行うのかという知識も重要です。

ここでは遺品整理を行うべき人や親族同士が遠方に住んでいる場合について解説します。

基本は相続人が行う

遺品整理は原則として相続人が行います。

民法上の相続人には、配偶者、子、親、兄弟姉妹などが含まれます。

遺言書がある場合は、故人が「〇〇に遺品整理を任せる」と指定しているケースもあり、その場合は指定された人が遺品整理を進めることができます。

相続人が複数いる場合、整理を担当する代表者を決めておくと効率的です。

作業分担や作業のスケジュールを共有し、処分・保管・形見分けの判断基準をあらかじめ確認しておくと、後からのトラブルを防げます。

遠方に住んでいる親族はどうすべき?

遠方に住む親族が遺品整理に立ち会えない場合でも、参加意志を尊重し、適切に配慮することが大切です。

具体的には、次のような対応が考えられます。

  • 整理の前に、実施日時や場所、方針などを事前連絡
  • 残す物・処分する物の候補を写真やリストで共有
  • 欲しい形見があれば事前に申し出てもらい、取り置きや郵送で対応

こうした配慮を行うことで、「勝手に捨てられた」「知らないうちに処分された」といったトラブルを防ぎ、親族全体の納得感を高めることができます。

特に四十九日や法要のタイミングで親族が集まりやすい時期を活用し、みんなが関われる形で進めるのが理想です。

「捨てられない」遺品に直面したら?業者依頼のメリット

遺品整理の中で多くの方が直面するのが、「思い出が詰まっていて捨てられない」という感情です。

写真、手紙、衣類など、故人との記憶が深く結びついた品ほど処分の決断は難しくなります。

気持ちの整理がつかない時の対応

遺品整理=全て廃棄しなければならない、というわけではありません。

心の負担が大きいときは焦らずゆっくり進めて大丈夫です。

遺品を「ゴミとして捨てる」と考えると心理的ハードルが高いため、別の方法(形見分け・供養など)を検討するのも良いでしょう。

特にお寺や専門業者による「遺品供養」もおすすめです。

人形や写真、愛用品などを他の不用品とは分けて丁重にお焚き上げ供養してもらえば、「ただ捨てる」より心の区切りがつけやすくなります。

プロの遺品整理士に相談するという選択肢

どうしても自分たちだけでは作業を進められない時は、専門の「遺品整理士」などプロに依頼するのも一つの手です。

遺品整理のプロは、単に力仕事を代行してくれるだけではありません。

遺族の気持ちに寄り添いながら、整理・仕分け作業を一緒に進めてくれる存在です。

メリット 内容
心の負担が軽くなる 第三者に任せることで感情的な整理がしやすい
作業時間を短縮できる 1日で家一軒を片付けることも可能
重い家具・家電も対応 自力で運べない物も安全に処分できる
供養やリサイクルの相談ができる 不用品の中でも想いのある品を丁寧に扱ってもらえる
貴重品の発見サポート 見落としやすい書類・金品の捜索も任せられる

遺品整理と同時に家の解体が必要な場合

故人の住まいを相続後、誰も住む予定がなく老朽化している場合は、遺品整理と同時に家の解体を検討するケースもあります。

家を取り壊すには、事前に室内の残置物(家具・家電・日用品など)をすべて撤去しなければなりません。

こうした場合、「粗大ゴミ回収隊」(首都圏対応)や「粗大ゴミ回収隊名古屋」(東海対応)のように遺品整理と家の解体を一括で依頼できる業者を選ぶと、手間と時間の大幅な削減が可能です。

メリット

  • 手続きの一本化:窓口がひとつなのでやり取りが簡単
  • 日程調整がスムーズ:整理後すぐに解体工事に入れる
  • 費用の節約:セット割引がある業者も多く、コストを抑えやすい

また、解体工事には近隣住民への配慮や行政への届出も必要です。

対応範囲が広い業者であれば、これらも一括で任せることができます。

時間と費用を抑えつつ効率的に進めるには、こうした一括対応の業者選びがポイントになります。

お住まいのエリアでおすすめの業者

遺品整理に困ったら「不用品回収受付センター」にお任せ

遺品整理は、いつから始めるかを考えるだけでなく、どうやって行うかも重要なポイントです。

特に作業量が多い場合や一人で対応できない場合は、業者の力を借りることを検討するとよいでしょう。

そこで頼りになるのが、遺品整理にも対応した不用品回収業者です。

プロのスタッフが自宅まで訪問し、不要品の分別から搬出、処分まで一括で対応してくれるため、スムーズに整理が進みます。

急ぎの依頼にも対応できる即日回収や、早朝・深夜の柔軟な対応が可能な業者もあり、遺品整理の開始時期に合わせて計画が立てやすくなります。

どの業者を選べばよいか悩んだ際には、「不用品回収受付センター」の利用が便利です。

全国の優良業者の中から、条件に合う業者を簡単に比較・選定でき、出張費・見積もり・キャンセル料がすべて無料なので、初めての方でも気軽に相談できます。

積載量に応じたお得なプランを用意している業者も多く、立ち会い不要で依頼できるサービスも充実しているため、遠方に住んでいるご家族の代行にも適しています。

ぜひ活用してみてください。